この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。
考え方を考える、何を考えるかを考える
私の紹介する思考法の内もっとも重要なのは考え方を考えることである。これを実践すれば、以降に紹介する思考法は自ずと獲得できる。「考え方」には、思考全般に通用するものもあれば、各問題特有のものもある。私は思考全般に通用する思考法を考えるだけでなく、重要な問題に直面するごとにその問題特有の考え方についても考えるようにしている。また、考える力を伸ばす際は思考法のみならず脳や体、そしてそれらを取り巻く環境についても考えたほうがいいだろう。
そして、これは私の経験則であるが、何を考えるかによって生じる発想は全く異なる。例えば文章の書き方について考察するとき、文章の質を高める方法を考えるのと速く文章を書く方法を考えるのとでは得られる結果は全く違ったのである。従って、何らかの目標をもって考察を行う際には何を考えるかを考える価値は大いにある。
ただし、何を考えたらいいのかは事前に確実に言い当てられるわけでもない。考える価値のあるものを見過ごすこともありうる。対策としては普段から多様なことを考えるのがいいのではないかと思う。より多くの対象について考えると、必然的にアタリを引く確率は高まるだろう。何を考えるかを考えることだけでなく、より多くのことを考えることの両方が大切である。