この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。
自身が自らの意思によって行使できる思考力を高めるためには他人との協力も大切である。一人では実行できない大きな処理でも複数人で分担することで実行可能になる。また、他者と協力することで、思考に必要な情報をより多く集めることもできるようになる。あるいは他人と議論することで、一人で考えた場合に生じがちな偏見を防止するもできる。
・多様性と創造性の関係
そこに属する人の知識や技能が多様である集団は、情報を検索できる範囲が広がり、より多くの優れたアイデアを手にすることができるようになる(※正確に言えば検索範囲の広さだけではなく検索によって得られる知識の質も重要である)。ただし、あらゆる組織において常に情報検索範囲が広いことが必要であるとは限らない。また、さまざまな民族や性別から成る集団であってもそこに属する人の知識や技能の多様性がない場合には高い創造性を発揮するとは限らない。
・人海戦術による知識の発掘
科学の発展は脳内考察の結果ではなく偶然の発見の積み重ねによってもたらされた部分も大きい。そしてそのような発見は単独個人でできる範囲は少ない。世界の真理をより完全に近い形で見抜くためには、偶然の発見を多くの者と協力し人海戦術によって集めることが必要である。
