この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。
必要最低限の学習
私は基本的には「知識はそれが必要になったときに必要な分だけ学べばいい」と考えている。例えば、多くの場合本に載っている知識のうち自身が実際に使うものはごく一部に過ぎず、それに書かれた知識を隅々まで記憶するような学習を行えば、実際には使われない知識の習得に大量の時間を割くことになる。しかし、本の内容から自身の目標を達成するうえで実際に必要になった知識だけを抜き出して学ぶのであれば、無駄な知識を習得することを避けることができ、人生における学習時間を最小限に抑えることができるだろう(もっとも自身が専門とする分野ではその教科書の全てをしっかり習得しておいた方が良いことも多いため、必要最低限が教科書全体となることもときにはあり得る)。
ただし、以上はあくまで私にとって基本的な方針にすぎず実際には必要であることが確定しない知識を事前に学ぶことにもかなりの時間が割かれている。例えば以下の条件に該当する知識や情報については、それが必要となる前から学ぶことにしている。
1.単に興味が湧いた知識
2.知識の内、将来に必要になる可能性が高く、実際にそうなってからの学習では知識を使用しなくてはならないタイミングまでにその習得を終えることができないもの。
3.「アイデアの材料となる可能性がより高い知識」及び「知識を検索するための手がかり」
4.計画を立てるために必要な情報
3の知識についてはいずれも各分野のより基幹的なものを優先的に学ぶことが効率的だと思われる。4の把握においては人生における計画を立てるために世界の情勢を把握することも当然行われるが、それにくわえて学習計画を立てるための情報すなわち学問の全体像を知るための知識の習得もなされる。また、1~4の知識或いは情報の習得は明確に別々の行為として行われることは少ない。もっと言えばそれらと冒頭の必要最低限の知識の習得も融合的に行われることが多い。
学習対象の選別方法
学問を効率的に学びたければ、学習を始める前にまず学問の全体像を把握するように努め、その後その中でも重要なものから順に学ぶようにすると良い。とはいえ全体像の把握は、知識を学んでからでないと正確に行えないことも多い。従って何らかの学問分野を学ぶ際には、学習範囲選定のためのその全体像の把握と、実際の学習を交互に継続的に行っていくべきだろう。
ある分野に詳しい人は他者のためにその分野を学ぶ際の経路などを用意するといいかもしれない。その分野の知識の地図を示すことや、わかりやすい解説書などを書くことがそれにあたる。
何かを学ぶ際にはその学習対象の大枠や原理を捉えることを先に行うべきである。細かい知識をその意義も分からずに詰め込むべきではない。また、本の目次を読んで全体像を把握することも大切である。
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