世界平和実現構想+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

悟り後はどうあるべきか

この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。

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謙虚さを忘れてはならない。仏教の教えを理解したからといって他者より偉くなった気になってはならない。あるがままという点で誰もが対等である(これは無分別への囚われを捨てるところまで行けば分かる)。また、悟ったとしても無意味に自身が悟ったなどと言わないほうが良い。慢心や傲慢、無意味な固執を生むことにつながるだろう。私は自身が悟ったと明言したり断言したりするつもりはない。

悟ったとしても苦しみからいくらか解放されるだけで、精神的に強くなるわけでも人格者になれるわけでもない。例えば私は禅の核心を理解したつもりでいるが、相変わらず驚くほど矮小な人間なのである。道義的に誤ったことを言ったり行ったりする可能性もあるだろう。だからこそ人は悟った後にも自分を十分に律し、精神的な成長は続けなくてはならない。私は少し厳しめに自信を律する程度がちょうどよいのではないかと考えている。

悟れば過剰な執着は持たなくなる。それゆえに他者との対立も減少する。しかし悟るだけでは他者を大切にする心を持つことにはつながらない。それを持つには自ら悟りとは別の努力をする必要がある。そしてその努力は他者のためにもなるがそれ以上に自身のためにもなるだろう。このことについては後の慈悲に関するの項目で詳しく説明する。それは悟る前から実施するべきものでもある。

 

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