世界の基礎+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

問題解決理論

この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。

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問題とは、問題解決と目標達成の違い

問題とは想像と現実の間にある乖離のことである。問題解決とは現実を理想に寄せることによってその乖離をなくすことである。

 

「目標設定&目標達成」と「問題明確化&問題解決」は本質的にはやることが同じである。いずれにおいてもゴール(前者は目標、後者は問題が解決された状態)を明らかにし、そこに至るための手段を求め、その手段を実行するという点は共通している。そのため、どちらかのやり方を知っていれば基本的にもう片方もできるといえる。従ってこの節では解説の対象を「問題明確化&問題解決」に絞ることとする。

問題明確化

問題の発見

問題存在サイン

「世界の構造が不明瞭であることから生じる違和もしくは不安」や「自身の願望が満たされないことから生じる憤り、焦り、悲しみ」が生じたとき、そこには「無知」あるいは「願望の達成の阻害」という問題が発生している。解決するべき問題を発見するためにはそのような問題の存在を示すサインを捉えることが必要である。そのようなサインを見落とさないようにするためには、普段からあるいは定期的に自身の内面の世界を確認すると良いだろう。

 

世界の全体構造を把握することによる問題の見落とし阻止

解決すべき問題を見落とさないようにするためには、世界の全体構造について普段からより広くより深く把握するように努めることも重要である。世界を知らなければ知らないほど、解決すべき問題が不知の領域に含まれる可能性がある。そうなれば当然その問題の解決を目指すことはできない

問題が増える条件

学術、創作、スポーツなど多様な活動に取り組もうとする人は、単一の活動にしか取り組まない人よりも多くの問題に直面することになる。そのように自身に生じる問題が増えることは厄介であると同時に自身の成長を促進する。

問題の特定

問題を特定するメリット

先述の問題の存在を示すサインを知覚することによって問題が存在することを見抜いたのであれば、今度はその問題がどのようなものであるのかを特定するべきである。問題の範囲を明確にすることで、問題解決の際に無関係な情報処理を防ぐことが抑止されれる。また、問題の特定により問題そのものが明確になると、その問題に関する連想(=アイデアの発想)は行いやすくなる(自分の経験則に過ぎないが不明瞭な考えに対しては連想による発想は行いづらい)。

 

問題特定の手法

問題があることが分かっているが何が問題なのかが分かっていないときには、以下の二つの方向から問題を特定することができる。

・除去

問題が存在すると思われる領域から問題のない領域を徐々に取り除いていく(例えば人体を描いた下手な絵があるとき、顔以外に問題がないことが明らかであれば、人体という領域から顔以外の領域を取り除いていく。更に顔の中でも目以外が理想的であるのなら、目以外の部分も取り除く)。このとき最後まで取り除かれずに残った部分が問題そのものである。ただし、問題の範囲が以上の方法によって限定されたとしても、その問題の原因がその問題の外部にある可能性は否定されない。

・比較

現状と理想を比較し、相違点を明らかにする。このとき相違点のいずれかが問題である。ただし、相違点の全てが問題であるとは限らない点には注意が必要である。なお、理想は「洞察による導出」や「世界に存在する理想の実例の把握」によって明らかにすることができる。

 

◇他力

他者の協力や他者の解説を参考にすることによっても問題を特定できることがある。

 

◇問題の検証

問題の特定を誤れば、解決しようとする必要のない問題の解決のために不必要に時間を割くことになる恐れがある。そのため、問題を特定した後は可能であれば「その問題が本当の問題であるのかどうか」や「その問題以外の問題もあるかどうか」についての確認をした方が良い。そのためには、特定された問題を解決した場合に本当に全体が良くなるのかどうかを脳内でシミュレートすることなどが考えられる。

 

解決不要問題除去

上位目標達成のための中間目標を明らかにしようとするとき、その上位目標に更にその上位の目標の達成を目指すうえで達成する必要のない目標が含まれていることがある。例えば世界の根源的な真理の解明を目指す際に、物理学の把握を中間目標として設定すると、その中間目標の内には物理学の末端領域のはあくまで含まれることになるが、その中には当然世界の根源的な真理の解明とは無関係かそれに近い領域が存在する。そのような場合に、中間目標(物理学把握)を達成するための中間目標を定めようとするのであれば、前者の中間目標の更に上位にある目標(世界の根源的真理解明)の解決に寄与しない目標は定めないようにするべきである。

 

補足:以上のように目標は上位から下位へと進むにつれて、目標の定義の非厳密さから来る不要な目標の設定の蓄積が進むことになる。それによる不要な問題の解決という問題に対策をするには、定期的に下位の目標からより上位の目標の達成に寄与しない目標を、それへの寄与以外の十分な利益がある場合を除き除去することが必要である。

 

問題の解決不可能性リスク及び解決優先順位決定

問題の解決不可能性への対処法

○解決不可能性の判定

形式科学の世界ではどうなのかは知らないが、現実世界においては解決不可能であることを証明できる問題はない。何故ならばどの問題も私がこの座標で今から196回手を叩くことで解決される可能性が存在するからである(※1※2

従って、私は超越的な観点から見て解決不可能な問題が存在するのだとしても、それが解決不能であることは証明しきれないと考えている。そのため私は解決不可能な問題に取り組むことを、それが解決不可能であると証明することによって回避することは諦めている(経験則から解決が困難であると考え、他の問題の解決に取り組むことを優先することはある)。

※1:これはつまり、極めて限定的な局面でしか生じ得ないまだ一度も世界に発生していない行為もしくは現象の全てについてそれが生じたときに何が起きるかを確認することは現実的ではないため、どの問題もそれらが起きたときに解決される可能性があることを完全に否定することも現実的ではないということである。

※2:あるいは、自身の何らかの行為によって世界の法則が置き換わり、現時点で解決不可能な問題が解決されうるものになる可能性もあるだろう

 

○解決不可能な問題が存在する可能性への対処法

解決不可能な問題が存在する場合、その問題の解決に取り組み続けることは大きな時間的損失を産むかのように思える。従って普通に考えれば、解決不可能な問題については、その問題が解決不可能であると見抜いたうえで、それに取り組むことを回避するようにするべきである。しかし、先ほどふれた通り、私は解決不可能な問題を事前にそうであると見抜くことはできないと考えている。

以上の事実を踏まえて、私は解決不可能な問題に対しては以下の方針と考え方を採用することにした。

1:自力の洞察によって世界の真理を解明する際には、基本的に自由な発想(拡散思考)とそのまとめという手段を用い、特定の問題の解決というやり方は最低限しか行わないようにする(なおその最低限の大きさが小さいとは限らない)。

2:どの問題に取り組むのかは、問題が解決可能かどうかではなく、問題の解決に取り組んだ際の期待値(正確に言えば問題解決に取り組む際に支払うコストの単位量あたりの期待値。つまり期待値を支払いコスト量で除算した値)の大きさによって判断する。

3:そもそも解決不可能な問題の解決に取り組んだ時にも得られるものは多くあるため、そうすることを恐れる必要はさほどない。

1の方針に基づいて世界の真理の探究を行うことは最終的な真理の把握度を最大にはしないかもしれないが、解決不可能あるいは困難な問題への時間の浪費を防ぎ、自身が生み出すアイデアの量を最大に近づけることができる。

2の方針を実行することにより、解決不可能な問題に取り組んでしまった場合、その解決に失敗し続けることで予測されるその問題の解決確率が低下し、その問題解決に取り組むことの期待値は低下する。その結果、解決に取り組むことの期待値は他の問題の方が高くなり、自ずと解決不可能な問題ではなく他の問題に取り組むことができるようになる。

また、3の考え方により、そもそも解決不可能な問題に取り組むことを不当に悪いことであると評価することは回避される。

 

問題の解決優先度決定

注意:以下の内容は洞察時間不足の中自己満足で書かれたものであり、検証不足かつ非実用的である(正直描いている最中に何が言いたいのかよくわからなくなったのをそのままに公開している。いずれ修正したい)。そのためその部分は読み飛ばすことを推奨する。以下の内容を読む場合は、正しい答えを知ることではなく正しい答えを知ろうとする際の考察材料を手に入れることを目的として読んだ方が良いだろう。

 

一覧化された問題の解決優先順位を定めるとき、各問題の優先順位はその解決に取り組んだ時の期待値を、その問題の解決に取り組む際に事前に支払うと決めたコストの大きさで除算した値によって定まる。その値が大きな問題ほど優先順位は高くなる。なお、その値は本著においては解決優先度指数と称することにする。

 

◇解決優先度指数算出手順

・コスト算出

各問題の解決優先度指数を算出するにあたっては、期待値を算出したり除算時に用いるコスト量を明らかにしたりするために、最初に問題解決に取り組む際に支払うコストの量を明らかにする必要がある(期待値の算出に当たってそれが必要になる理由は、どの程度のコストを支払うのかによって期待値が変動するからである)。

このときのコストには問題解決に要する時間や支払う資金の量が含まれる。単位の違うコストを単一の数値で示すためには、各コストを心理的な量でとらえたり、時間に換算してとらえたりすると良いだろう。

そして、各問題に対して適切な支払いコスト量を定めようとする場合には、現実に支払える大きさの範囲で、成果を最大化できるコスト量を求めると良いだろう。その量の正確な見積もりは問題解決に取り組む前の時点では不可能であるが、その後問題解決に取り組む中でより正確な値を見積もることができたのであれば、新たな値は後に解決優先度指数を再算出するタイミングで活用すると良いだろう。

また、各問題の解決に取り組むことが実際には解決策を考えることのみからなりその策を実行することを含まない場合かつ事前にそれにどの程度の時間を使うのかを定める気がなく単に今からどの問題の解決策を考えるかを決めようとする場合は、それぞれの問題のコストとしては、「今から」が暗示する範囲例えば大体一時間程度の時間を定めると良いだろう。その場合、コストによる除算はせずとも手早く結果を求めることができる。

 

・期待値算出式

期待値は以下の式によって算出することができる。

期待値=解決成功確率×解決成功時予測獲得利益(問題が解決したことによる利益+副産物)+解決失敗確率×解決失敗時予測獲得利益(基本的に副産物のみ)

なお、解決成功時予測獲得利益の問題が解決したことによる利益の中には後の相乗利益を含む。

 

・解決優先度指数算出式

解決優先度指数は以下の式によって算出することができる

解決優先度指数=期待値/コスト

 

◇補足

・利益とは

計算式に出てくる各種利益は、正確に言えばそれを得たときの資産評価値と問題解決に取り組まなかったときの資産評価値の差異である。例えば、問題解決に取り組んだ時に100円得られるとしても、取り組まなかったときにも90円得られるのであれば、100円を得たときの利益量は100円ではなく10円である。

なお、問題解決に取り組むことによって得られたものが自身にとってどの程度の利益となるのかを正確に判断したい場合は、その獲得物がどの程度の金額であるのかなどの表面的な情報ではなく「自身の幸福」「自身が持つより上位の目標や他の中間目標の解決」「不測の事態への備えとなる資源の蓄積」などにどの程度貢献するのかによって判断すると良いだろう。

・手順効果加算

問題には他の問題に先んじて解決することで他の問題の解決コストを減らしたり解決確率を引き上げたりすることができるものがある。そのような問題の指数を算出する際にはそれらの効果の分解決成功時獲得利益を増加させるべきである。

 

・期限効果加算

期限がある問題は期限内に解決できなかった場合、その問題を解決することによる利益が永続的にあるいは半永続的に完全にあるいは部分的に獲得不能となる。そして、期限がある問題の解決に取り組む際にはそのリスクの回避という利益が生じることになるため、そのような問題の解決優先度指数を算出する際にはその問題の解決時獲得利益の部分にその利益の加算を行っておくべきである。

 

・相乗効果加算

問題の中にはその解決と他の問題の解決と組み合わさることで相乗効果による利益が発生する問題が存在する。個別の問題に対する評価を行う際に相乗効果の加味を行いたければ、評価対象の問題(単体。ここではこれを仮に相乗効果受領問題と称する)の期待値算出式に含まれる解決成功時予測獲得利益に以下の値を加算するべきである

相乗効果生成問題(相乗効果受領問題が解決された状態で解決されると相乗効果を生成することができる問題)取り組み確率×相乗効果生成問題取り組み時問題解決確率×宗雨情利益量

 

・利益とコストの単位について

式中の各値の単位は心理量でそろえることを想定しているが、コストについては既にふれたように解決に要する時間以外のコストについても時間に換算していいかもしれない。

 

・期待値算出タイミング

期待値の算出はあらかじめ定められたタイミング(定期)で行うのが基本だが、問題解決に取り組んでいる最中に予想外に解決が困難であることが判明した場合には、随時期待値及び優先順位を再算出することを考えても良い。

 

・各数値の正確性向上

以上の式の中に出てくる確率や利益量は推論や経験則に基づき判断するが、その正確性を高めるためには多少でも問題の詳細とその解決方法を事前に明らかにしておくことや多くの関連経験を積むことをしておいた方が良い。特に重大な問題解決計画を立てるときにはそのようにして判断の正確性を高めることの必要性は高い。

 

・注意点

実際に問題解決の優先順位を決める際には以上のような計算に時間がかかる複雑な式を用いるよりも直感を用いるようにした方が良いだろう。私は実際にはその式を使うことはほとんど完全にないが、もし使える場面があるとすればそれは中期的な計画を立てる際に自身のバイアスを理論によって修正しようとするときだろう(より長い期間の行動を定める計画はそれが誤っていた時に損なう時間が大きいため、計画に時間をかけたときのリターンがコストに見合いやすい。しかし、長期的すぎる計画はそもそも未知数な要素が大きすぎるためやはり式を用いた予測が外れる確率は高くなる)

 

直感的解決優先度指数算出

以上の解決優先度指数算出式は厳密に実行しようとすれば計算に時間がかかることからさほど実用性はない。従って、普段一覧化された問題に対して問題の解決優先度を算出する際には以下のことを加味しつつ直感に頼るようにした方が良いだろう。

・解決しても自身の真の目標(潜在的な目標含む)の達成に寄与しない問題を除去する

・解決に取り組んだ時の(単位コストあたり)期待値がより高い問題の解決取り組み優先度をより高くする

・期待値は自身の真の目標(潜在的な目標)の達成に対する予測貢献度によって定める

・期待値の算出に当たっては「手順効果」「期限効果」「相乗効果」を加味するべきである

・バイアス除去もしくはバイアスによる偏りの埋め合わせ

 

解決優先度集団評価

解決優先度指数は問題の集団に対しても算出することができる(方法は正直まだ考えてない。相乗効果を無視するのであれば各問題の期待値の合計を各問題の支払いコストの合計で除算すればよいのではないかと思う)。ただし、問題の数と組み合わせは無数に存在し、想定する全ての問題集団に対して解決優先度指数を算出することは現実的ではない。従って問題の解決優先度指数を問題集団ごとに算出しようとするときは、想定しうる全ての問題集団からなるグループをいくつかに分割し、それによって生成された各グループごとに優先度を算出すると良い。また、それにより最善であることが判明したグループについては、そのグループ内でより優先度の高い問題集団を調査することで、より解決取り組み時の期待値の問題集団の解決に取り組むことができる。

 

問題解決

事前準備

問題を解決できる確率を高めるためには事前準備として以下を行っておくことが望ましい

・体系的かつ本質的な「知識、情報、経験」の大量蓄積

知識が大量にあるほど思いつくことのできる問題解決策は多くなる。古代の人類はいくら頭が良くても空を飛ぶ方法を思いつくことはできないだろう。ただし、体系的かつ簡易にまとめられていない知識は引き出すことが難しい点には注意が必要である。

・資金や人脈等の有用資産構築

これらがあれば、何らかのサービスの利用や他者による協力によって問題を解決することができる

 

 

問題解決手順

○重大なこと

先に断っておくと、問題解決力を本当に引き上げようとする際に重要になるのは小手先のテクニックではなく、事前準備で示した「有用な知識や資産の蓄積」や「問題の解決策の洞察と実行を怠らないこと」である。知識や資産が不足している状態で思いつく解決策や実行できる解決策に限りがある。また、いくらいい解決策を思いつく方法を知っていたとしても、それを使わなかったり使ったことで得られたアイデアを有効活用しなかったりしたのでは問題は解決できない。

 

 

○手順

◇問題明確化&事前準備(移譲までに触れた範囲)

◇直感&簡易洞察&簡易情報検索による解決策導出

◇本格的解決策洞察

1.メタ処理

2.経路探索&情報拡大

3.情報検索

4.検索対象構築

★以上の四過程については後に詳しく解説する

◇編み出された問題解決策の実行

◇問題解決策実行中及び実行後の解析

・予測と違ったところの分析

・改善点を探し、改善点があれば改善する

・失敗した場合は、その対策を考える

 

メタ処理

先述の手順の本格的解決策洞察の段階では1で進捗管理等を行いならが、2~4を同時並行で実施する。1の具体的な内容は以下のとおりである。

・情報整理

後の2~4の実行過程で得た情報を整理する。まだ何も得てない場合はこの段階は飛ばしても良い。

・2~4の効率的実行手順洞察&策定

・問題解決放棄や回避(代替案使用)の選択の可能性検証

望ましい場合には問題の解決を放棄などを選択する

・問題明確化段階再調査

問題解決に取り組む前の問題明確化の段階に過ちが存在する可能性について検証する

・総合的超越的解析

視野を狭めないために、以上の分析手順に縛られない分析を行う。この実行は特に重要である。上記の問題解決手順の実行を厳密に行うことに意識をとらわれすぎると、本当に重要なことや簡単に見えているはずのアイデアを見失う恐れがある。

 

経路探索、情報拡大

◇イメージ図

現状→前進解決過程(状態or行為)→前進解決過程→???  ???→後進解決過程→後進解決過程→ゴール

問題解決の際には前進解決過程と後進解決過程を繋げることを目指す

 

○経路探索基礎

自身が現状からゴール(問題解決状態or目標達成状態)に至ろうとするとき、その過程に現れる状態や行為を本著では「解決過程」と呼ぶことにする。

問題解決は

「現状もしくはそこから現実的に至ることがあるいは行うことができると考えられる解決過程(以降現在から派生する解決過程を前進解決過程と称する)」及び「ゴールもしくはそこに現実的に至ることができる解決過程(後進解決過程)」を明らかにすることを

明らかにされた「現状及び前進解決過程のいずれか」と「ゴール及び後進解決過程のいずれか」が一致するまであるいはその一歩で前まで行うこと]

によって行う。

それを実行したときの実際の問題解決策は、現状とゴールを結び付けることに成功した経路に現れる行為の流れである。

 

○前進解決過程探索/後進解決過程探索

・前進解決過程探索

前進解決過程を明らかにするには、既に明らかになった現状もしくは他前進解決過程のそれぞれに対して、そこから自ずと至る状態やそこから実行可能な行動を考える。

・後進解決過程探索

後進解決過程を明らかにするには、既に明らかになったゴールもしくは他後進解決過程のそれぞれに対して、それを導くことができる行為あるいはそれが自ずと導かれる状態を考える。

 

以上の経路探索過程における新経路の発見は洞察や次の情報検索を実行することによって行われる。その際には基本的にゴールから後進解決過程を探索することを優先的に行うようにした方が良い。何故ならば、前進解決過程の探索は、アイデアを探るべき領域が膨大であるため実行が簡単ではないからである。そのような探索はアイデアが行き詰まったときや全てのルートを明らかにして最善の経路を探したいときにはじめて行い始めるものである。

また、最初は解決のルートを大きくとらえるようにした方が良い。いきなり細かい経路を考えようとすると全体像を見る力が低下する。経路の具体化は大きな経路をある程度完成させてからでも行うことができる。

なお、最終的採用される問題解決過程は現実に至ることができるあるいは実行できる状態や行為のみで構成されるべきであるが、洞察の過程においてはあえて現実的かどうかの評価を外して考えることも、視野を狭めないために必要である。

 

○情報拡大

情報拡大では「現状、ゴール、各解決過程」の内部の情報を明らかにする(問題の具体化や原因の分析など)。それらについての情報を明確にすることで、後の情報検索においてそれらの過程に適用できる法則(「各過程から至ることのできる過程を示す法則」や「各過程を導くことができる過程を示す法則」)の検索が行いやすくなり、問題解決策を思いつく確率が上がるからである。

「現状、ゴール、各解決過程」の情報を明らかにすることには、それらの内部の情報を解明することに加え、それらの情報を別の形に置き換えることも含まれる。同じことを示す文章でもその表現のしかたに差異があれば、その文章から連想されるものは変わる。他には問題を分割/分解することも行う価値がある。

 

○最適化及び失敗時への対策

問題解決策を見抜いた後は、必要に応じてその策の効率化を行なったりそれ以外の策の存在を確認したりする必要がある。また、思いついた問題解決策を実行しても思うように問題が解決できなかった場合にどうするかを事前に決めておくことも、解決の確実性が求められるときには行っておくべきである。

 

情報検索

○情報検索の方法

情報検索では問題解決に役立つ情報を既存の知識から取り出すことを目指す。

検索にかける情報は「現状、ゴール、各解決過程」のいずれか全体あるいはその構成要素である状態や行為である(例えば○○を勉強するという解決過程がある場合、勉強という語が検索ワードとなる)。

検索を行う際には、それらの状態もしくは行為を含む知識(法則)を検索対象である知識体系の中から探し出し、それらの状態もしくは行為から導かれる結果やそれらを導く条件を明らかにする。そうすることによって問題解決の解決過程候補を把握することができる。

例えばある解決過程Aがa,b,cを構成要素として持つときに、知識体系の中から「A→B」や「a∧b→d」という見つけ出すことに成功すれば、その解決過程からはBやdの状態もしくは行為が発生することが明らかとなる

 

補足:情報拡大によって各過程内部の情報が増えるほど、検索によって得られる情報も増加する。そしてそうなれば問題解決につながるアイデアを獲得できる可能性は高まる。情報拡大が重視されるのはそのためである。

補足2:検索対象は自身の知識体系のみではない。他者の知識体系もまた検索対象となりうる。他者の知識を検索する場合は、他者の著書を確認したり、他者に質問したりすると良い。

 

○検索範囲の切り替え

知識体系の知識を検索しようとする場合は、まずその体系のうち必要とする知識が最も存在しそうな領域を調査する。そして、その結果求める知識を獲得できなかった場合は検索する範囲の幅や深度をより目的の知識が眠っている可能性が高い領域を優先的に範囲に含むようにしつつ拡大する。

以上のような検索範囲の変更は問題解決を効率的に行いたいのであればある程度意図的に行うようにした方が良い(検索範囲切り替えを意識的にやりすぎるとその処理に脳のリソースが割かれ過ぎたり、検索不十分なまま次の領域の検索に移行し始めたりする恐れがある点には注意)。何故ならば自分の感覚任せの検索は期待値の高い領域の探索を怠るあるいは忘れるリスクが高く、更には既に良いアイデアがないことが確認された領域の検索から他の領域の検索に移行するのに不必要に多くの時間がかかる恐れがあるからである。ちなみに、後者の現象が起こる原因は、人間にとって既にある程度の情報を短期記憶に入れた領域について検索したときの方が必要な労力が小さいことにある。多くの人は他の未知の領域の検索には大きな労力が必要となるため、意識しないとそれに取り組むことは避けがちになる。怠惰な人が意識せずに検索範囲の切り替えを行えるとしたら、それは既に検索済みの領域の検索に幾度も失敗して、経験的にその領域の検索が無意味であることを強固に認識させられたときである。

 

○見落とし防止

・情報置き換え

検索にかける情報と検索対象の情報は、それらの実質的な内容が同一である場合でも表記が異なることがある。そしてその場合、検索ワードに対応する情報が体系内にあるにもかかわらず情報が検索の際にヒットしない恐れがある。そのような問題に対処するためにも、検索の際には既に情報拡大で触れた情報の表現形式の変更(置き換え)を、検索対象の知識体系内の情報に対しても行うようにした方が良い。

・再探索

既に検索を行った範囲についても、時間をおいてから再度検索をすることで、前回気づけなかった有用な情報を拾い上げられる可能性がある。そのため情報の再検索は適度な頻度で行うようにした方が良い。

 

検索対象構築

○事前構築

情報を検索する対象となる知識体系の構築は、既にふれた事前準備の段階に行っておくことで問題解決速度を向上させることができる。事前準備としての知識体系構築を行う際には、世界のより根本的かつ本質的である構造を優先的に解析すると良いでしょうなのだ!何故ならばそのようにして得られた知識は汎用性が高く後に有効活用できる確率が高いからである。また、それ以外には将来の自身が行う問題解決により貢献する確率が高い知識についても優先的に明らかにしてまとめておく価値がある。

 

◇有用末端知識の蓄積

体系的知識の中には推論によって導かれる知識を必要に応じて含めておくべきである。数学の公理にあたる知識と定理にあたる知識(定理は公理を元にした推論によって導かれる)があるとき、公理に当たる知識と推論のルールさえ知っていれば、定理に当たる知識は記憶せずともあとから推論によって生成することができる。しかしそのことは定理を記憶しなくてもいいことを意味しない。何故ならば、定理が記憶されていない場合、問題解決の際にその定理を用いることが、定理の検索の困難さや低利の導出にかかる時間の多さから難しくなるからである。従って、有用な定理は記憶しておいた方が良いし、そうでない定理も何らかの脳外記録媒体に引き出しやすい形で記録しておくことが望ましい。なお、現代日本の受験数学では、各定理の使い方についても事前に把握しておくことで高得点を狙うことができる。

 

○問題解決過程における知識体系構築

「経路探索及び情報拡大」や「情報検索」だけでは問題を解決できなかった場合、あるいはもっと優れた問題解決手段を把握したい場合には、問題解決の途中であっても情報検索で得られる既知の知識を増やすことが必要となる。その際には、「世界の構造のうち経験や推論によって問題の解決のために把握しておいた方が良いことが明らかとなった領域」や「問題解決に取り組んでいる最中に出てきた各概念」をこれまでに紹介した本質洞察や根底疑念などの手段で解析すると良いだろう。

 

問題解決テクニック

・問題が発生する原因を探る。原因となっている事象の発生を防げば問題は解決される

・解決策を探る時間を増やす。そうすれば当然アイデアの総量は増え、問題が解決される確率は高まる(既出の思考法力技と同じ)

・時間をおいてから考える、あるいは記憶が整理されている時間帯に考える。十分にアイデアを出し尽くした後で問題の解決策が見えてこないときは、一度時間をおいてから洞察を再開すると良い。そうすることで時間をおいている間に重要でないアイデアの忘却が進み、考察を再開するときに余計な情報に惑わされずに問題の全体像や要点を捉えられるようになり、問題の解決策が見えやすくなる。このように全体の見通しが良くなることによる問題解決力向上の効果は、睡眠によって記憶が整理された状態となる朝の起床後の時間帯にも発揮される。また、瞑想や昼寝によって起床後に近い状態を意図的に作り出すこともできると思われる。

ただし、以上の効果を有効に活用するためにはあらかじめ問題の解決策について大量のアイデアを出しておくことが必要である。いくら全体の見通しが良くなっても、そもそも自身が保有するアイデアの量が少ないのであれば、問題解決策を編み出せる可能性は低くなる。ちなみに、アイデアを出すのに向いているのは夕方などの適度に脳内の情報が錯乱している時間帯である。

・既に他人によって完成させられている問題の解決策や理論を調べる。この方法は問題を最速で解決することに向いている。しかしこの方法を用いても常に情報が見つかるとは限らず、更に他者が文章にしていない有用な情報を獲得することができないという点には注意が必要である。最善の問題解決策を考えたいのであれば、自分自身による洞察を怠らないようにした方が良い。

・ある問題に対してとりあえずの解決策を思いついた後に「その方法を使っても失敗/敗北した」あるいは「その方法よりももっといい方法がある」という前提でその解決策の不備や改善点を考えてみる。そうすることで、より質の高い解決策を見抜くことができるようになる。

・他人に問題の解決策の立案や実行を任せる。効率を突き詰めるのであれば、自分自身の洞察の経験を積むことが重要な場合などの例外を除き、他人に任せられるものは他人に任せるようにした方が良い。ただし、他人に協力してもらうためには相応の対価を支払わなくてはならないことを留意しておくべきである。

 

 

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