世界の基礎+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

現在制作中ゲームのストーリーを一部公開

https://kanayamatetsuya.com/entry/2026/01/16/204443

最近ゲームのノベル部分を執筆するにあたり考えた文章術のまとめは上記リンクより確認可能。同業者の役に立つ…はず(素人考察だけど)

以下実際に書いたもの

 

●設定

琥珀:主人公。研究者志望の一般学生。男だが、可愛らしい顔立ちをしている。

幽姫:メインヒロイン。鬼という種族らしい。魔女が人間の品種改良を行うことで作り出した疑惑あり。

 

●冒頭

一日の用事を済ませ、寒空の下帰路に就く
季節は冬に差し掛かっており、早い時間でも空は暗い

自分は研究者志望の学生だ
将来の研究活動に備え、今日も世界の構造についての洞察と学習を推し進めていた
最近はいくつか理解が難しい問題に直面しており、その解決に苦戦している
しかし、そのことについて何か不安を感じたりはしていない
今までも何度も同じような状況に遭遇したが、乗り越えられなかったことなど一度もないからだ
それはきっとこの先も変わらないだろう
外部の様子とは裏腹に、前向きな気持ちで家に向かう

半時間強の移動の後、賃貸マンションの自身が住む部屋の前に到達した
ポケットから鍵を取り出し中に入る
他に誰かがいるわけでもないので、ただいまとは言わなかった
部屋の中は外以上に暗かったので、すぐに電気をつけて明るくする
いつも通り、これから夕食の準備をしなくてはならない
荷物を下ろすため、一つしかない部屋を横切って奥の方へと向かい始める

------異変が起きたのはその時だった
部屋の中央付近に踏み込んだ時、突如自身の足元が強い光を発し始める
これほどの光を放つものなどこの家には置いていないはずだと思いつつ、反射的に原因を確かめるため足元を見た
するとそこには魔方陣のようなものが浮かび上がっていた
、、、!
状況は呑み込めないが、本能が未知の要素に恐怖する
身体は即座に魔方陣のそばから離れようとした
しかし、その場から移動しようにも足を動かすことはできなかった
何か強固な力で身体が拘束されているようだ
突然の出来事にパニックに陥る
これが夢か現実かなど考える余裕もなく、とにかく身の安全を確保することに必死になった
身体をいろんな方向に動かそうとしたり、身体に加える力の強弱を変えてみたりする
しかし抵抗の効果は残念ながらなかったようだ
自らを包む光は、いつの間にか鳴り始めていた場を切り裂くような音と共に、容赦なく強まり続ける
そして、異常の発生から十秒弱ほどの時間が経過した頃、ついに光の強さは最高潮に到達した
意識の全ては、まばゆい白一色に染まる
そこでは、自身の思考は光にむしばまれ、その結果は全て光の渦の中に消えていった
身体はもはや完全に動かすことができない
やがて、自分にできることは、天変地異でしか生じ得ないような大きな音や光に対して、動物が感じるような本能的恐怖を生み出し続けることだけとなってしまった
--------------。
それからほどなくして、今度は逆にそれまでの状況がまるで嘘だったかのように感じられるほどの暗闇が訪れる
そこではあらゆるものの感知ができなくなっていた
時間や空間を感じることはできず、自身の肉体や思考の存在すらもはやあるのかどうかがわからない
先ほどまでそこにあったはずの存在を揺るがすほどの不安や恐怖も、きれいさっぱり消滅している
自身のすべては、突如訳も分からぬまま暗闇と一体化したのだ
そこからしばらくの間、完全な無があたりを支配する
実はその時行われていたのは、分解された自己の転移であった
だが、そのことが自覚されることは、ついになかった

 

視界が開ける
すると自身の身体が床に横たえられていたので、とりあえず上体を起こしあたりの様子を伺った
どうやら石造りの部屋にいるようだ
遅い時間なようで、その場所は薄暗く、窓からは夜空が見える

???:久しぶりね、兄さん

 

目の前にはいかにも魔女に見える服を着た女性がいて、自分に声をかけてくる
、、、。
状況が理解できず言葉は返せなかった

 

魔女っぽい人:
混乱してるのかしら?
まあ無理もないわね

思考をめぐらせる
自分の置かれた状況が理解できないので、まずは直前に何があったかを思い出そう
今の自分は魔方陣のようなもので囲まれている
そうだ、確か足元に突然これと同じものが現れ、、、
その先を思い出すことができない
状況からするとまさか魔法によって転移させられたのだとでも言うのだろうか
いやしかしそんな非現実的なことが起きたなどとは信じがたい
もしかしてこれは夢なのだろうか
実際に身体の感覚は少し浮ついている気がするのだ
だが、意識の方はどんどん鮮明になっていく
思考の複雑性は高まり、メタ認知の深度は深まっていく
その様子をもとに考えると、おそらくこれは夢ではない
、、、

 

ふと目の前にいる女性に目を向ける
自身と同じく白い髪をしている
その人はこちらが落ち着き声をかけるのを待っているようだ
考えても自力では自分に何が起こったかの答えを見抜くことはできなそうだ
埒が明かないので、今の状況について彼女に質問することにしよう
彼女はその平静な様子からして、この状況がどういうことか理解している可能性が高い
もし自分の中にある非現実的な想定が事実であるなら、この状況を招いた張本人でもあるだろう

 

しばらくの静寂ののち、口を開く

 

●とあるシーン

琥珀:
き、聞いてみないと分からないよ
何かな、、、?

そこでちょうど、木々の連なりは途切れ、夕日が幽姫の顔を照らし始める
淡く柔らかい光が、幽姫の全身を包み、琥珀の身体を刺激する
直後、彼女が笑顔で言った

幽姫:
(★恥ずかしいのでこの部分だけ隠ぺい)

瞬間、時が止まり、琥珀は目の前の存在に深く見入る
それまでの彼は、気恥ずかしさから彼女の顔を真正面から見ることがほとんどできていなかった
目が彼女の顔に向けられていたとしても、意識はそこから少しだけずれたところに向けられていたのだ
だが、琥珀は直前まで、日の傾きと木の遮りによって互いの様子が分かりづらいのをいいことに、幽姫の顔を普段よりも目を凝らして見るようにしていた
結果、その注視は、幽姫の顔が突然によく見えるようになったことで、解除する間もなくそのまま、これまで近くにありながらも真には捉えてこなかった対象へと引き継がれることとなる
、、、すると、そこには、この世界に存在していいのかを疑うほどの美が存在した
通常は、どれほどの美人であっても、人である以上は何かしらの美から離れる要素を持っている
彼女にはそんな欠点すらなかった。
その容姿には、欠点がないことが欠点であると思わせる隙すらないほどに欠点がなかったのだ。
彼女の姿はまるで完成された芸術品のようだった。
魔女がそう作ったのだろうか。人の品種改良を平気で推し進める彼女なら、やりかねない
少なくとも、琥珀には、それが自然な手段によって生まれ得るものだとは、とても思えなかった
矛盾するようだが、そこにある完全性は、どこか不穏な空気をまとってすらいた
だが、一方で、彼はそのことに対して嫌悪や恐怖を感じたりはしなかった
彼の無意識は、単なる外観の美しさよりもずっと重要なものを捉える
そこには、そこにあるだけでこの世のあらゆる不吉を蹴散らすような、純粋で力強い明るさがあった
彼女の笑顔とそこから読み取れる精神性は、ささやかな問題を全て無へと帰してしまった。
見るものへ安堵をもたらすその表情は、怯えをもたらしかねない要素を、容易に魅力を生み出すだけの要素へと変換してのけたのだ
琥珀は止まったときの中で、いつも見逃す他なかったものを、ほんの一度の直視がきっかけでそこから目を離すことが不可能になったために、不可避的にじっくりと堪能させられる
彼の脳には、刺すような美と輪郭のない多幸感からなる情景が、衝撃も合わさることで鮮明に刻み込まれた
、、、遅れて、琥珀は言葉の方へと意識を向け始める
琥珀の、既に幽姫からぶつけられた気持ちによって紅潮一歩手前で踏みとどまっていた頬は、彼女の直接的過ぎる言葉を現実のものとして受け止めていくと同時に、じんわりと強い赤へと染まっていった
止まっていたかのようであった鼓動が、今度は逆に自らの存在を強調し始める。
その音は、耳にまで届きそうなほどだった。

幽姫:
あはは、琥珀君ってば照れちゃっててかわいい~

琥珀は気が付くと恥ずかしさによって全身が熱くなっていた
彼は身体に現れようとする変化を小さなうちに抑え込もうとするが、それは焦りを生んでかえって逆効果となったようだ
羞恥心と無自覚な喜びの混ざったものが、大きなうねりとなってその身体を駆け巡る

琥珀:
、、、

琥珀は反応に困り、返す言葉が浮かばずついに下の方を向いて黙り込んでしまった
幽姫は続けて何かを言っているようだが、それを聞き取ることもできない
彼の周りは騒がしい沈黙に支配される
そのことはその内心の静寂を一層妨げた
そして、しばらくすると、そんな琥珀に対して、幽姫が容赦のない追撃を加える
心の奥底では期待していたからか、そういうところだけは難なく聞き取ることができた

幽姫:
(省略)

それに対する琥珀は、あやふやな返事をして、本心であるかも定かではない同意をなんとか示すので精いっぱいだった
彼はもはや、冷静沈着な存在であろうとする自身のプライドが無残にも打ち砕かれていくのを、黙って受け入れる他なくなっていた
だが、その心には不思議と安心感も湧き始める
琥珀は平静を装おうとするのを諦め、今度は動揺をそのままにして自身の体裁を取り繕う手段を探し始めた
しかし、そのときふいに自身がそれまで触れてきた幽姫の根っからの優しさを思い出し、彼女の前で無様な姿を晒したとしてもそれが本心から馬鹿にされることなどありえないという事実に気づいてしまう
彼は、彼女の前では、そもそも自身の小さなプライドを守ろうと必死になる必要がなかったのだ
同時に、彼は胸を締め付けるような気持ちが生まれ、息をするのが辛くなっていることを自覚した

琥珀:
(省略)

琥珀の幽姫とはただ友人であろうとするもろい決意は容易に崩れ去ったのであった
彼はまた、彼女との関係に悩み始めることになった