この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。
協力とは複数の者が共に自身の能力や労力を提供し合いながら、特定の目標の達成を目指すことをいう。人はそれぞれ一つの脳と一つの身体しか有せず、そのため個人で実行可能なことは少ない。もし大きなことを成し遂げようとするものがいるのであれば、他者との協力は必須である。また、自身が得意で他者が苦手な処理を自身が行い、他者が得意で自身が苦手な処理を他者に行ってもらうことは、二者の総合的な処理時間を減少させることができるというメリットがある(※1)。
他者との協力に関する個人的見解は以下のとおりである
・国や企業などが提供する何らかのサービスなどの活用も他者との協力と言える。そのような手段を効果的に用いたいのであれば、有用なサービスについては事前に積極的に把握しておくように努めると良いだろう。また、人を雇用し働いてもらうことも協力の一形態である。
・誰かと協力しようとする際には、自身だけでなく協力者にも十分な利益が生じるようにしなくてはならない。相手も当然心ある人間であるので搾取してくるばかりの人には積極的な協力は行わない。もし何らかの協力を行おうとする際にそれによって実現されるもの自体は協力者の利益に繋がらないのであれば、その実現とは別にその人に対価を支払うことが必要となる。
・協力者に無用な規範を押し付けてはならな。そのようなことをすると、協力者を得ることは難しくなる。
・協力は何らかの目的の達成のために行うものであって、協力のために協力する必要はない
・親密な人間関係は維持するために必要なコストが大きく、自身の利益のために戦略的にそれを得ようとすることは割に合わない場合が多い。従ってそのような関係は基本的に単に好意によって構築されるべきものである。なおこのことは協力者と友好的な関係を築こうとすることを否定するものではない。
※1:人AとBがそれぞれ作業aとbを行わなければならないとする。更に、作業aを実行するのにかかる時間はAが50時間、Bが100時間であり、作業bを実行する時間はAが100時間、Bが50時間であるとする。このときAがBの作業aを代行する代わりに、BがAの作業bを代行したとすると、AとBはそれぞれ100時間ずつしか消費しないことになる。それに対し、AとBが作業を交換しなかった場合はそれぞれ150時間ずつ時間を消費することになる。従って、AとBはお互いに自身が苦手な処理を相手に任せたほうが良いことになる。むろん、学習のためにあえて苦手な作業を行わなくてはならない場合があるが、そのときは当然その作業は自力でこなすべきである。
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