世界平和実現構想+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

慈悲とは何か、慈悲がそれを持つ人の救いになる理由

この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。

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慈悲とは

慈悲もまた悟りと同様に仏教の教えの核心である。慈悲とは相手の不幸が解消されること及び相手の幸福が実現されることを望む気持ちのことである。そして仏教では悟りを目指すことと同時に慈悲を持つことが求められている。

慈悲がそれを持つ人の救いになる理由

慈悲を持つ人は他者の幸福ばかりでなくその人自身の幸福をも実現することになる。なぜならばそのような人は怒りや憎しみで自身の精神を痛めつけることがないからである。より完全な幸福のためには慈悲と悟りの双方が必要であるが、慈悲をもつのであれば悟りなど開かなくてもかなりの程度の幸福を実現することが可能である。逆に悟りを開いた者であっても慈悲を持たないのであれば多くの不幸を抱え込むことになる。例えばもし悟りを開いただけで慈悲を持たないのであれば、その人は尊大になりはじめる可能性がある。そしてもし実際にそのような状態になったのであればその驕りがその人自身をも傷つけ始めるのである。慈悲を持たずに自身の幸福だけを求めるのであれば、結局のところ自己と他者の対立に呑まれて不幸から逃れることはない。

また、大切な存在が苦しんでいるのを見ることによって生じる自身の苦しみは、その存在への慈悲に徹することによっても解消することができる。なぜならば他者のの苦しみを無くすことや他者の幸福を実現することで頭がいっぱいになれば自分の苦しみなどは忘れてしまうからである(※とはいえそのような態度に徹することは誰にでも容易にできることというわけではないので、それができなかった場合にも落ち込む必要はない)。

 

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