この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。
慈悲とは
慈悲もまた悟りと同様に仏教の教えの核心である。慈悲とは相手の不幸が解消されること及び相手の幸福が実現されることを望む気持ちのことである。そして仏教では悟りを開くことと同時に慈悲を持つことが目指される。
慈悲がそれを持つ人の救いになる理由
慈悲を持つ人は他者の幸福ばかりでなくその人自身の幸福をも実現することになる。なぜならばそのような人は怒りや憎しみで自身の精神を痛めつけることがないからである。また、大切な存在が苦しんでいるのを見ることによって生じる自身の苦しみも、その存在への慈悲に徹することによっても解消することができる。なぜならば他者のの苦しみを無くすことや他者の幸福を実現することで頭がいっぱいになれば自分の苦しみなどは忘れてしまうからである。ただし、そのような態度に徹することは誰にでも容易にできることというわけではないので、それができなかった場合にも落ち込む必要はない。
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