以下の内容は書籍に乗せる価値があるほど洗練された内容には思えなかったため没とした
さらに、チェスと知能指数に関する研究では、チェスが強い人の集団内においてはIQによる実力の差が小さくなるという結果が多く出ているようだ。これはつまりチェスの実力がある水準を上回る集団の中にはIQが高くない人が存在し、なおかつそれらの人がその集団内においてIQの高い人より実力が低いという傾向がみられないということである。そして、IQの代わりにチェスの練習時間や経験の多さがチェスの能力の高さと相関するらしい(※1)。もしかすると、分野によってはIQなどほとんど意味がない指標となることもあるのかもしれない。
※1:チェスの能力が高い人の集団ではIQによる実力差が小さいのは事実であるが、同時にチェスプレイヤーの平均IQが高いことも事実であるようだ。このことは、恐らく多くのIQが低い人がチェスを始めたばかりの頃に挫折して、後にIQに関係なく高い実力を身に着ける可能性があるにもかかわらずチェスを辞めることが原因であると思われる。また、IQが低くてもチェスの能力が高くなりうることの理由は、長い時間チェスを行えばIQに関わらず必然的にどういう状況でどういった手を打つと勝率が高くなるのかが経験によって見えるようになったり、自身が単一の情報すなわち処理が容易である情報として把握できる駒の配置パターンの数が多数である状態となったりすることにあるのだと思う。ただし、IQが低い場合でもIQが低いなりに考えたり調べたりすることを大切にしないと成長の速度は遅くなるだろう。また、私はIQとチェスの実力が能力の高い層において相関しない状態が未来永劫続くことが保証されているとまでは考えてない。