世界平和実現構想+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

間接民主制の採用による衆愚政治の抑止

この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。

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選挙等によって国民に選ばれた政治家が政治を行う制度を「間接民主制」という。また、国民に選ばれた政治家ではなく国民が直接政治を行う制度を「直接民主制」という。現在の民主国家においては「間接民主制」を主として採用しつつも、一部に「直接民主制」を取り入れることで民主主義を実現している。

・なぜ間接民主制か
間接民主制は実際に政策決定を決めるのが国民ではなく国民に選ばれた政治家であるという性質により、直接民主制と比較すると民意が正確に反映されない側面がある。民主国家においても民衆の多数派が支持する政策が政治に反映されないことが多くあるのはそれが理由である。しかしそのような性質があるにも関わらず現代の民主国家においては間接民主制が主な制度として取り入れられているのには理由がある。


【この部分は分かりづらいのでいずれ修正
第一の理由は政治的な判断や決定のすべてを国民が直接行うことは人々や社会に対して受容することが困難な大きさの負荷をかけるからである。人々が直接自らが属する地域の政策を決定する場合には、必然的に国民がそれについて情報収集、考察、意思の表明等を行うことが必要となり、なおかつ社会が国民の意志を確認するために労力を割いたり費用を負担したりすることが必要となる。しかし、政治において行わなくてはならない判断は数多く存在し、それらの判断の全てにおいてそのようなことをするのは現実的ではない。従って政治上の判断の内国民が直接行うものはその必要性がより高い一部の問題に限定し、それ以外は国民に選ばれた政治家が話し合って決めた方が良いといえるのである。そのように全人口の一部を政治家として選出し、それらの人々が話し合うことで政治を決定する方法を採用した場合には、人々全体から政治のために奪われる時間をより小さくすることができ、なおかつ議論の参加者の人数が少ないことから意志の集約もより低コストで行うことができる。

そして、第二の理由は政治の質を向上させるためである。選挙で政治家を選ぶ場合はあまりに何も学ばない人間は当選する可能性が低くなる。その結果国民に選ばれた政治家の能力の平均と国民全体の能力の平均で見れば、前者の方が高くなると考えられる。また、政治家になった際には国から給料が支給されるのでより政治に関する学習や活動に使用できる時間が多くなる。この事実からも選ばれた政治家が政治を行う方が政治の質は高まると考えられる。(ちなみに、各国の議会では議員の活動に対して、「秘書の配属」や「議員図書館の設置」、「議員が立法する際に補佐をする機関の設置」等による支援も行われているが、もし現時点でそのように議員の支援を行う制度が不十分であるならばそれを強化したほうが良い。議員が専門家の協力を得やすくしたり、人々との交流を行いやすくしたりすることが考えられる。)

以上の考えから私は民主制の中枢として間接民主制を採用することは妥当だと認識している。もしかするとそれらの考えの内に民衆の実力への不信などが含まれていることを問題視する人もいるかもしれないが、それでも私はその制度が「人々が政治家を選ぶ権限を持つことで実質的に政治を決められる力を持つこと」及び「政治の品質の向上により人々の生活をより安定して守れること」につながるから間接民主制を主な制度として採用することに賛同している。ただしそのように政治の質を高めるために政治についてより詳しい者に政治を任せるということは、国民が政治について学ばなくていいということを意味しない。国民が無知であればあるほど政治家は間違ったことを主張することが容易になるだろう。より良い政治家を選ぶためには国民自身が勉強することも大切であるということを人々は忘れてはないようにするべきである。

・現民主国家に見られる直接民主制
直接民主制を実現する方法の代表例としては「国民投票」「立法の提案」「解職請求」などがあげられる。例えば日本においては憲法改正の際には「国民投票」が行われている。日本で憲法改正を成立させるには、議会の議員による憲法改正の発議の後に国民投票において国民の過半数の賛同を得る必要がある。

 

 

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