世界の基礎+α

世界の平和を実現するための方法を考えます

文民統制はどのようにして行うべきか

この記事は書籍「世界の基礎」の一部です。

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・軍を政治権力有する者のごく一部に全面的に従わせるような制度にしてはならない。なぜならばそのようなことをすれば、軍を動かす権限を持つ者が他の政治権力を強制的に排除することが可能となるからである(ちなみに軍の最高指揮権は一般に行政府の長に与えられているが、アメリカのように、戦争宣言の手続や軍の編制、予算制定の権限を連邦議会に与えている国もある)。また、軍内部においても一部の人間に過度に権力が集中することは控えなくてはならない。

・軍の重要な地位に就く者の人事は議会の同意を必要とする形で行われるようにすることが望ましい。

・軍は人民によって選ばれた正当な政府に従って行動するべきであり、軍がその命令に反する行動や命令されていない行動を勝手に起こすことは原則として認められない。例外として軍に対して政府が非人道的な命令や独裁を推進するための命令を下した場合には、軍やそれに属する各個人が非暴力不服従によってそれに抵抗することが容認される(※ただし、軍の運用に著しい支障をきたすのを防ぐためにもそのような態度をあまりに安易に取ることは避けるべきである)。しかしその場合も軍に所属する者は武力を用いて政権に攻撃をしかけるような抵抗は絶対に行うべきではないということをわきまえておかなくてはならない。何故ならばそのようなことが容認されると軍が独善的価値観によって政府を武力攻撃する恐れが大きくなるからである。

・軍のように武力を持った組織は自らの意思で勝手に動き始めた場合の損失が極めて大きいため、他の公的組織よりも厳しく民主的な統制を行うべきである。安全保障上の効率と民主政府による統制では後者が優先されなくてはならない。

・軍の人事権は直接的であるにしろ間接的であるにしろ人民の代表が握るべきであり、そのことに不満を持つ傾向の強い人物は人間は軍の上位の地位には就かせてはならない。

・軍のより高い地位は民主主義の規範を深く理解しているもののみに任せるべきである。もしそれらの立場につく者の民主意識が怪しくなれば直ちに解任し、民主規範の高い者に変更しなくてはならない。

・軍人全員の民主意識の向上も大切である。軍のトップが暴走してもその下の階級の者が動かなければ問題はない。そのためにも人が集まらないからと言って思想的に危険な人間を軍にいれるべきではない。人が集まらないならば、十分な報酬を呈示することによって危険な人間の入隊なしで人員を確保できるようにするべきだ。政治家はこの統制が十分に行き届いているかを常によく確認するように努めなくてはならない。
・国民自身の民主主義への理解とその意識を向上させることも文民統制に良い影響をもたらすことができる。軍に入隊するのは国民であり、国民自身の民主主義を支持する意志が不十分であれば、軍が非民主的になるのは時間の問題である。このことは文民統制に限らず公務員全般への統制についても言える。

・軍の一般的な兵士が軍外部の情報から孤立した状態に置かれることは避けるべきである。なぜならば外部の情報から隔離されると軍トップによる扇動が容易になるからである。軍人に対しては教育によって民主主義への理解を定着させることとそれらの人々を外部に開かれた状態にすることの双方を大切にしなくてはならない。

・軍部(あるいは自衛隊)はもし今後制度に予想外の致命的な穴があったことが発覚し、そのせいで三権の内いずれの政治権力の意志に従えばいいか判断が難しい場合には、少なくとも日本においては議会を優先するべきだろう。なぜならば議会は国民の直接の投票を受けた多数の人間によって構成されていることから内閣よりも極端になる可能性が低く民意の代表としての正当性もより高いからである(このことをもとに考えると大統領制は大統領にも人民の代表としての正当性があることから軍部がそれに乗っとられやすい制度であると言える)。

 

 

 

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